シール・ラベルをはじめとした、印刷における白とは(白印刷)
紙への印刷で、白色はどのように表現されているか知っていますか?
一般的に、紙は白色です。ですので、紙への印刷では「印刷をしない」ことで白を表現します。しかし、紙は白い紙ばかりではありません。色紙のようにさまざまな色の紙もあります。そのような紙で白を表現したい場合には、白いインクを使って白色を印刷します。あえて白で印刷するので白印刷と言います。
白印刷が必要なケースは、上記以外にもあり、白以外の色を表現するために白印刷が必要になる場合があります。白じゃない色を印刷するために白を印刷するなんていうと、まるで謎かけ、とんちのようです。いろんなケースで必要になる、さまざまな白印刷をご説明していきます。
白い用紙で白を表現する場合
白い用紙で白を表現する場合、紙自体が白色ですので、わざわざ白色の印刷をする必要はありません。一般的に印刷で白を表現するには、白くしたい場所の印刷をしないというのが、通常の方法となります。
白い用紙では、印刷しないことで白を出す

シール・ラベルの用紙に限らず、コピー用紙、画用紙、習字の半紙など、身の回りによくある紙も含め、さまざまな用紙は一般的に白色です。ですので、印刷をしなければ白色です。わざわざ白いインクで印刷する必要はありません。
画像に写っているラベルは、シール・ラベルに非常によく使用される「アート紙」と呼ばれる白い用紙に印刷を施し製造されたラベルです。ラベルの右側部分は、白い背景の部分に黒色の文字がたくさん印刷されています。紙は白いですので、背景を白くするために、わざわざ白印刷をする必要はありません。ラベルの左側部分は、青色の背景の中に白い文字や罫線などがレイアウトされています。この場合、白色にしたい部分は青色の印刷をせずに、用紙の白が見えるようにします。このような方法を「白抜き」と言います。文字なら「白抜き文字」、罫線なら「白抜き罫」などと言います。これが、印刷における一般的な白の表現の仕方です。
色のついた用紙に白色を表現するには
色のついた用紙で白色表現をしたい場合は、前述の「白抜き」のような対応をとっても、用紙自体に赤、青、黒などの色がついていますので、印刷しない部分を作っても、地の色が見えるだけで、白く表現はされません。では、どうしたら良いでしょうか。
ここではじめて「白色を印刷する」必要性が出てきます。
色のついた用紙には、白を印刷することで白を表現する

色のついた用紙では、白色を印刷しない限り、白色を表現することはできません。画像のラベルは青色のフィルム素材の用紙になります。そこに、画像のように白色で会社名や製品名を表現したい場合には、白インクを用いて白色を印刷する必要があります。この、白で印刷することを「白印刷」または「白刷」と言います。
白いインクは隠蔽性(下地の色や模様を覆い隠す力)が高く、色付き用紙の地の色をしっかり押さえて、透けることなく白を表現します。しかし、用紙の材質によっては、紙にインクが染み込むなどして隠蔽力が十分に発揮されない場合があります。その場合は、二度刷と言って、同じ柄を同じ色のインク(この場合は白インク)で2回印刷します。
白ではない色を印刷するために白を印刷する
これまでは、白を表現するための白インクや白印刷の説明をしてきましたが、白印刷のもう一つの役割に、白以外の印刷をするための「下地」として白を印刷するというものがあります。以下に、なぜそのような手法が必要なのか、その効果などを説明していきます。
インクは透過する(透ける)ので、下地の影響を受ける

インクの透過とは、インクが透けることを指します。赤、青、黄色などのインクは、透過する(透ける)ため、色付きの用紙に印刷すると、下地の影響を受け、色の見え方が変わり、意図した色で表現されません。透明な素材に印刷した場合には、色付きセロハンのように向こう側が透けて見えてしまいます。
画像は、透明なフィルム素材に赤いマジックで四角形を描いたものです。インクが透けるため、フィルムの下にあるラベルの文字が透けて見えています。シール・ラベル印刷で透明フィルムの用紙に赤や青などの色を印刷した場合にも、画像の例と同様の状態になります。
一方、白や黒のインクは隠蔽性が高いため、透過しづらい性質があります。そこで、透明や色付き用紙に赤や青などの色を印刷するときの下地作りとして白印刷します。この下地づくりのための白印刷のことを「白押さえ」や「白打ち」と言います。
シール・ラベル印刷で「白押さえ」をよく行う素材
シール・ラベル印刷で、よく「白押さえ」を行う素材に透明PET、透明塩ビ、ネーマーがあります。透明PET、透明塩ビは、読んで字の如く、透明の素材です。ネーマーはPET素材にアルミ蒸着を施した銀色の素材です。
透明素材は、白い紙と同じように印刷すると、色が透けて向こう側が見えてしまいます。ネーマーの場合は、下地の銀色が影響し、メタリックな仕上がりになってしまいます。そうならないために、透けてほしくない部分に白押さえをして、白い紙に印刷するのと近しい状態を作り、その上に他の色の印刷を行います。
以下に、ネーマーでの例をとって、白印刷の効果を説明していきます。
ネーマー素材に白押さえをせずに印刷をした場合の仕上がり

ネーマー素材に白押さえなしで印刷を行うと、インクが透けてメタリック調の仕上がりになります。画像の例は、ラベルの上下にマゼンタと呼ばれる赤のインクを白押さえなしで印刷してあります。下地の銀色が影響し、メタリック調の仕上がりになっていることがわかります。
この効果を狙って、あえて白押さえをせずに印刷を行う場合もありますが、印刷する絵柄がイラストや企業ロゴなどの場合、インクの透過により意図した仕上がりと大きく異なってしまう可能性があります。その場合はイラストやロゴ部分に白押さえの印刷を行うことで、図柄に銀色の影響が及ぶのを防ぎます。
ネーマー素材への白印刷の仕上がり

白インクは隠蔽性が高いため、透けることなく下地の銀色を押さえます。画像でもしっかりと白インクが下地の色を押さえている様子が確認できます。インクの透けを防ぎたい場合には、このように先に白印刷を行って、透けを防ぎたい場所に白い紙のような状態を作った上で印刷を行います。また、白押さえの用途でなくても、白色の表現をしたい部分も、白インクで印刷します。
透けてメタリックになる部分と、白押さえをして本来の色味に仕上がる部分を組み合わせて、デザイン性の高いラベルに仕上げることも可能です。このテクニックは、シャンプーボトルなどの首部分に貼られるPOP用途のアテンションシール(製品事例ページ参照)などでよく用いられます。リンクの製品事例では、銀色のネーマー素材に白押さえをせずに黄色を印刷し、背景を金色のような仕上がりにし、文字を白インクで印刷して、人の目をひくデザインに仕上げています。
ネーマー素材に白印刷と単色ベタ印刷を組み合わせた作例

画像は、ネーマー素材に白印刷と単色ベタ印刷(作例はマゼンタ100%のベタ印刷)を組み合わせたシール・ラベルの仕上がりになります。
まず最初に、全段落で紹介した白印刷を行います。その次にその上に単色ベタ印刷を施してあります。ラベル下部のピンクの帯部分は、白インクが白押さえの効果を発揮しており、その上に印刷されたマゼンタインクは、下地の銀色の影響を受けることなく、インク本来の濃いめのピンク色の仕上がりになっています。一方、ラベル上部は、白押さえをしていないため、マゼンタ印刷部分はメタリック調の仕上がりになっています。さらに、企業名の部分は白色ではっきり見せたいため、企業名を白印刷して、マゼンタ印刷の企業名部分は抜き文字にして白が出るようにしてあります。企業名の下の英語表記の部分は、白印刷した上にベタ印刷をかけています。ラベル下部同様に、白印刷した英字部分が白押さえとなって、マゼンタインク本来の色味で英字が表現されています。その周りのベタ部分は、白押さえがなされておらずメタリック調の仕上がりとなっているため、色味に差が出て、同じ色を印刷しているのに、仕上がりに差が出る状態になっています。右端のロゴマークは、白印刷をしていない部分にマーク状に抜き印刷をしているので、ロゴマークが銀色に表現されています。ラベル上部の下側には、デザインのアクセントとして、白い帯を印刷してあります。
このように、銀色の用紙に、白印刷をする部分、しない部分とその上に印刷するデザインをうまく組み合わせることで、印象的な凝ったデザインに仕上げることが可能です。
ネーマー素材への黒印刷の仕上がり

黒インク(印刷用語で「スミ」と言います)も、白インク同様、隠蔽性の高いインクとなります。ですので、白押さえをしなくても、しっかり黒色で印刷されます。画像は、白印刷がない、マゼンタとスミだけを印刷した状態のものですが、マゼンタのインクは透けて、仕上がりがメタリックになっているのに対して、スミ印刷部分はしっかり黒く印刷されているのがわかります。
シール・ラベルの依頼は、経験豊富な越後札紙へ
越後札紙は、多種多様なシール・ラベル用紙に対して印刷を行なってきた、豊富な経験や知識を蓄積しております。
シール・ラベルの用紙には、さまざまな種類のものがあります。越後札紙は、シール・ラベルのプロフェッショナルとして、用紙の印刷特性、求める表現を印刷するための用紙選定や印刷の工夫など、いろいろな角度から精査し、ご要望に最適なご提案をさせていただきます。
シール・ラベルに関するお問い合わせ、ご相談、ご依頼は、お気軽に越後札紙へお声がけください。
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